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第31部「伝えられなかった事」






生き残り 8人 
A組男子・無し                女子・無し
B組男子・加藤 宅、守川 直光、丸元 晃、獏 陀桜 女子・金斗 麻梨亜
C組男子・皆 信長              女子・亀横 公美絵
D組男子・金崎 竜介              女子・無し
残り男子6人、女子2人
鍵保持者 丸元 晃

侵入グループ 4人
女子 伊勢 なみ・紗山 向日葵
男子 北極 智侍紅・野乃 猛

政府団 19人
立花
その他・兵士 18人

??? 1人
ガキ


残り1時間55分





第8章   ーー Destruction of government. The student's victory. ーー



工場近く  皆 vs 守川   14時05分
[ドギュッ!]
[バンッ!]
「・・・・!」
皆の足下の石が弾け飛んだ
「殺してやる!!」
皆が守川に向かって走り出す
「・・・・くっ!」
守川がもう一度皆に狙いを定める
[ドギュッ!]
ライフルから出た銃弾は一直線に皆に向かった
[ーーーーチッ]
皆は体制を低くして銃弾を避けた
[ドッ!]
そして皆は守川の腹部を思いきり蹴る
「チィーーッ・・・!!」
更に髪の毛を掴み、自らの膝に守川の顔を叩き付ける
「まだだぞ」
「くっ・・・」
守川は一瞬ぐらついた
皆は飛び上がって、守川の左ほほに右足を当てた
[ボグッ!]
けたたましい音と共に守川は1m程後方に飛んだ
「・・・・くそっ!」
そして守川は立ち上が・・・れなかった
[ガッ]
皆は倒れている守川の首根を踏み付けた
「・・・・」
後ろからマシンガンを出し、
「・・・じゃあな、守川w」
[パンッ]
[グチャッ]


林  獏   14時12分
[ザッザッザッザッザッザッザッ!!!!]
「・・・・・ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
獏は本部へと向かっていた
「・・・・!!」
前方に一際光る場所を見た
「出口だ・・・」


ーーーーーーー


獏は林を抜け、すぐ近くに本部が見えたので、そのまま走った
「・・・・ん?あれは・・・」
獏の目線の先には守川を撃ち殺した皆がいた
「・・・・」
獏は笑って、日本刀の鞘と柄を持った
「・・・・ゲット」
・・・・走り出した




「さて・・・これからどうするかな・・・?とりあえず本部へ向かうかな」
皆はしゃがんで守川のバッグを探ろうとした
その時、
[ザッザッザッザッザッ!!!!]
後方から音がした
「・・・・なっ!!」
皆は急いで後ろにマシンガンを向けた
「ーーーーー遅い」


[スパッ]


皆に「遅い」と聞こえた時には、もう皆の両手は無かった
マシンガンと皆の両手は頭上に飛んでいた
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
皆は座り込んで両腕をどうにか止血しようとした
「・・・・」
獏は刀を振り上げた体制のまま、皆を見ていた
「・・・・苦しいか?」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「・・・・死にたいか?」
「ああああああぁぁぁぁ!!!!!」
「・・・・・うるせぇ」
[ザクッ]
「ぁぁ・・・・・・」

一瞬で皆は静かになった
獏の刀は皆の右目に刺さっていた
[・・・・ポタッ、ポタッ]
獏の右手に皆の血が浸っていた
獏の右手は序々に紅く染まっていった
[・・・ドッ]
そして皆のアゴを蹴り、刀から引き離す

「・・・・フゥーーー」
獏が息を付いた時だった


[・・・・・ガコンッッ!!!!]


「!!」
獏から5m程離れた所にあるマンホールが跳ねた
「なんだ・・・・?」
[・・・・・]
獏は、地面が揺れているのがわかった

[・・・・・・・・・・ーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ]
「・・・・デッドゾーンの地盤落下か・・・」




[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!!!!!!!!!!!!]



獏が、さっきまでいた林が一瞬にして大きな水たまりになった
「・・・・すげぇな。。。」
獏は呆気を取られていた
[・・・・バシャンッ!!]
「!!!!」
今水たまりになった場所から人陰が顔を出した

「・・・・」
「・・・・プハァ!!」
「だ、誰だ・・・」
人陰は陸に上がった
「・・・・」
「・・・・」
2人はジーッと見つめあった
「あっ、獏くんじゃん!!」
「なっ・・・」
その人陰は伊勢だった
「良かった・・・人がいなくて困ってたの。。。一緒に行ってくれない?」
「・・・・ぐっ。。。」


ーーーー獏は、転校生だった
中2の時に引っ越して来て、今の中学に来た
日々、友達を作ろうとするが・・・
中国からの優等生には、一向に友達は出来なかった
「・・・・もう、こんな学校生活・・・嫌だ」
そう思った時もあった
授業中も一人、弁当の時間も一人だった
・・・・そんな時、
「・・・・ば、獏・・・くんだっけ?なんでそんなとこにいるの?こっち来て話そうょ♪」
話し掛けて来てくれたのが、伊勢だった
どんな時でも優しくて、なんの差別なしに見てくれ、接してくれたのが伊勢だった・・・
伊勢のお陰で、たくさんの友達がいて、たくさんの遊び相手がいる、今の自分がいる

・・・優しかった。。。

日々遊んでくれる伊勢は、獏には輝いて見えた
いつしか・・・・想いすら寄せていた
伊勢の笑顔、声、性格、頭の良さ、運動神経、天然な可愛さ・・・全てが好きだった

・・・マンガやドラマみたいだけど、始めて人を『護りたい』と想った

獏は、卒業式の日にも、告白は出来なかった・・・
学年で一番を争う程モテていた伊勢に、思いを伝える勇気は・・・無かった

しかし、獏はある決心をし、卒業式の六日後に告白をする事を決めた
・・・・だが、それは出来なかった。。。
得体の知れないゲームに参加させられ、しかも・・・伊勢は死んだと聞かされ、
獏にはぶつけようのない怒りが起きた
そして、その怒りは政府の軍団に向けられた
「・・・伊勢さんを殺し、そして俺達をこんななにかもわかんねーゲームに・・・」
その時、獏は、政府を壊滅させると心に誓った
伊勢を殺した奴等をこの手で・・・俺のこの手で壊滅させる!!そう・・・誓った
その為にも、他の奴に殺されてはならない
・・・本当は申し訳ない気持ちでいっぱいだ、申し訳ない気持ちでいっぱいだけど・・・やっぱり伊勢の仇は取る・・・そう思って、今まで仲良く、慣れ親しんでくれた友人達をも・・・殺して来た
・・・・なのに、伊勢が生きていた
それは獏に衝撃だった。。。




「・・・・あぁ・・・ぁ」
獏はその場に座り込んでしまった
「どっ・・・どうしたの!?ば、獏くん!!」
伊勢は獏に駆け寄って肩を掴んだ
獏の頭の中は、伊勢に会えた・生きてた嬉しさの事でいっぱいではなかった
『・・・ぉ、俺は・・・なんて事をしたんだ・・・なんて事を・・・したんだ・・・。。。罪のない友達を、自分の勝手な気持ちで、この日本刀1本で・・・何人殺したんだ・・・』
その時、やっと獏は我に還った
『なんて事をしたんだ・・・!!!!』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
獏は、自分が叫べる限り、叫んだ

伊勢はビクッとして、
「ど・・・どうしたの・・・?ね、ねぇ・・・獏・・・くん・・・」

「・・・・・」
獏は、今にも泣きそうな顔で口をパクパクとさせた
そして獏はゆっくりと伊勢を見た
「・・・どうしたの?」
少し引きつっていたが、伊勢は笑顔だった
「・・・・」
獏は伊勢を少し見つめた
「・・・ん?」
「・・・・」
[ガバッ・・・]
「・・・・!」
獏は、気付いたら伊勢に抱き着いていた
「・・・ど、どうしたの?な、なにかあっ」
「好きだ・・・・」
「・・・・・え?」
「・・・・・」
その後獏は何も言わなかった
「・・・・・」
伊勢は驚いた顔をしていた
「・・・・」
そして・・・優しい笑顔で言った、
「私も♪」
「・・・・!!」
そう言って、伊勢は、ゆっくりと獏に抱き着いた
獏は笑顔だった
伊勢も笑顔だった
2人はその後しばらく、抱き合っていた


いつの間にか空には・・・太陽が覗いていた

雲が1つも見えないくらい

晴れていた

まるで、

2人を祝福するかのように



『・・・絶対に伊勢さんは、俺が護る』








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